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いよいよ今週14日日本時間の午前3時に6月FOMCの政策決定会合が開催されます。
現状では市場は6月の0.25%利上げの確率はCMEが発表している直近のFedWatchでは96.3%とほぼ織り込み済みで6月利上げは確定的な状況ですが、最大の焦点は今年年間ベースで何回の利上げが行われるかという点に絞られ始めている状況です。
Data CME http://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html
5月FOMC議事録から見えてくる不可解な状況
5月初旬に開催されたFOMC議事録はすでに公表されていますが、非常に興味深いのは前回の会合で短期金利を3%以上に拙速に上げることがないようにすべきといった事柄が話し合われていることで、イエレン議長時代に本来もっと早いペースで利上げしておくべきだったのが大きく後ずれさせてしまった遅れをパウエル議長が取り戻すことになるのかと思われたものに対するFOMCメンバーの反応が必ずしもそうではない点に市場の関心が大きく集まりつつあります。つまり株式市場の急落を招かないように利上げペースをかなり緩慢にしようとする発想がFOMC内にあることが明確になってきているというわけです。
実際こうした動きを裏付けるかのようにセントルイス地区連銀のブラード総裁は5月14日にこのまま利上げを行った場合には、年内もしくは2019年初旬に逆イールドとなるリスクがあり、米経済にマイナスのシグナルを送ることになると警告を発しています。残念ながらブラード総裁は今年のFOMCで投票権をもっているメンバーではありませんが、なにかとFRBの意向を代弁する人物として注目されている同氏の口から利上げ緩慢化の話がでてきていることから市場には今年後半にむけて積極的な利上げが行われないのではないかという見方も広がりつつあり、好景気で年間4回の利上げ見通しという観測と真っ向から反発する状況となっています。
FOMCは声明後のパウエル議長の発言に関心が集中か
Source Reuters.com https://jp.reuters.com/article/usa-bank-powell-idJPKBN1D609C
こうした背景から今回のFOMCでは声明発表後のパウエル議長の記者会見での先行き見通し発言とFOMCメンバーの金利予想であるドットチャートに関心が集中することになりそうです。ただ、就任当時はかなりタカ派的発言を行ってきたパウエル議長とFOMCメンバーが利上げ後ずれを志向するとすればなにかがその動きに影響を与えているのではないかとの憶測も飛び交いはじめており、市場の先行き観測は複雑です。このパウエル議長はトランプ大統領がイエレン議長をおしのけて新議長として起用した人材だけでトランプ政権との親和性は極めて高い存在と言われており、11月の中間選挙に配慮して拙速に利上げを行って株式市場に悪影響を及ぼさないようにとのトランプから既に具体的な指示があったのではないかという見方も強まっています。逆にパウエル自身が忖度してそうした方向に舵を切ろうとしているとの見方もあるようですが実態は不明です。また新興国のリスクに配慮した発想という全く違ったmに方も登場しており、FOMC後のパウエル発言にファンド勢も大きな関心を寄せていることがわかります。仮にこれで明確に利上げが後ずれするような発言が飛び出せばドル円は足元のレベルをピークに大きく売られるリスクが高まることからポジションの保有には十分な注意が必要となりそうです。
追加利上げが後退すれば足もとの米国のゴルディロックス相場は確かに中間選挙まで温存される可能性が高まりますが、リセッションなど不測の事態に陥った時にFRBが投入できる金利調整策の幅がかなり限定されるだけに果たしてそれでいいのかという本質的な問題も顕在化しそうです。
14日は夜にECB理事会の政策決定があり、その後ドラギ総裁の会見も予定されているだけに、早朝のFOMCの結果を受けた動きが夜にさらに加速するか、まったく逆に反転した動きになることも考えられることから相当慎重な売買が求められる状況です。